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2017.12.06

【私の"生産物(おたから)"自慢 第18回】

by農業女子プロジェクト事務局

【私の"生産物(おたから)"自慢 第18回】

今回の”生産物(おたから)”自慢は、長野県飯山市の木内マミさんからこの時期ならではの野沢菜のご紹介です!

マミさんのおたからと飯山の魅力をたっぷりと語って頂きました。

では、マミさんお願いします!

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★自己紹介をお願いします

はじめまして。木内マミと申します。

長野県の最北端、飯山市で父と二人で野沢菜やキャベツなどの野菜を栽培している他、自分でハーブを育てています。

農家の娘として、生まれた時から畑で育ったため、何もないここから今すぐにでも出たい!と、海外まで飛び出し、留学させてもらいました(笑)。東京とアメリカで生活して、いかに私は恵まれた環境で育ったのかを感じました。採りたてのおいしい野菜を食べることができ、空気・水・お米に果物など…おいしいものが何でも揃っている北信州。小さい頃から当たり前だったことが、当たり前ではないことに地元を出て初めて気づきました。

★どんなところで栽培をしているのですか?

飯山市は世界有数の豪雪地。その飯山市内でもさらに雪が多く、4~5mも積もる「なべくら高原」に畑があります。

11月には雪が降り、5月のGW明けまで溶けません。一年の半分が雪の下となるなべくら高原では、夏だけの本当に短い間しか畑作業ができません。開墾から30年しか経っていない土地のため、まだまだ大自然が残っています。標高は600mほどですが、標高1000mと同じ気候で、複雑な地形のために雪が4~5mも積もる豪雪地というとっても不思議な場所です。

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なべくら高原の畑の他に、自宅近くにも畑があります。(標高300m) そのため、気候の差を利用したリレー栽培をしています。春と秋は自宅近くの畑で、夏の間はなべくら高原にある畑で栽培しています。

なべくら高原は自宅から片道20km!夏の間は毎日運転ばかりで、本当に大変で体力勝負なのですが、それでも通う価値のある魅力的な場所です。移住者の方もたくさんいらっしゃるんですよ。大自然に囲まれ、疲れも吹っ飛ぶくらいきれいな景色をみると、畑仕事をした後でも逆に元気になれちゃいます。

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★野沢菜の収穫で大忙しだったそうですね

秋は雪が降るまで野沢菜の収穫に追われます。今年は、長雨の影響と、台風のせいで野沢菜が生育不足。例年に比べ、丈は短く、株も小さいため、収量も例年の1/3ほどしかありません。どこに行っても野沢菜がない!と近隣市町村から飯山の道の駅へ買いに求めにいらっしゃるほどでした。店先で野沢菜が来るのを並んで待ってるほど、皆さん野沢菜を買うために待ってらっしゃるんです。せっかくわざわざここまで野沢菜を買うために足を運んで下さるので、私も必死に収穫を頑張りました。

野沢菜は、お隣の野沢温泉が発祥。京都から野沢温泉へ“天王蕪“を持ち帰ったところ、ここ、北信州の気候や土に合った野沢菜に変化したそうです。雨が多く、日照が少ないことが、太くて長い野沢菜になる条件!

同じ野沢菜の種を、30~40km南に離れた小布施町や長野市で蒔いても、膝丈くらいにしか伸びないそうです。というのも、飯山市や野沢温泉は雨が多く、日照が少ないために、野沢菜はどんどん伸びていくんです(その雨が、冬には雪に変わります…)。この土地や気候に合っている野沢菜、本当においしいんですよ♪

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うちの野沢菜は、基本的に無農薬、無肥料で栽培しています。

父が昔から土作りにこだわり、野菜に合わせた土づくりをしているので、とても柔らかく、筋のない野沢菜ができます。うれしいことに「木内さんの野沢菜がほしい」と言ってくださるお客様がいらっしゃって、その一言で報われています。どんなに大変でくたくたに疲れる体力仕事でも、お客様の「おいしい!」の一言で頑張れちゃいます。

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雪国では冬の間の大事な保存食として昔から各家庭で20㎏、30kgと野沢菜を漬けており、野沢菜漬けが食卓に出るのは当たり前です。

地元飯山市内の直売所では、時期になると店先に山盛りの野沢菜が並びます。一人のお客様が20㎏、30㎏と買っていかれるので、山盛りにしてもあっという間になくなってしまいます。一時間ほど離れた長野市や新潟県からのお客様が多く、毎年買いに来られます。霜が降りたり、雪が降ったりすると、野沢菜の細胞壁が壊れ“ノリ” (昆布などのぬめりのようなもの)が出ておいしくなります。通の方はそれをよく知っていて、「何回霜にあった?」とか「雪にあった?」と聞いて購入する方や、雪が降るギリギリに買いに来られる方もいらっしゃるほどです。雪が積もってしまうと、長い野沢菜が折れて収穫できなくなってしまうので、毎日天気予報を見ながら、今年はいつまで収穫できるかなぁ、明日には雪が降るかな?積もっちゃうかな?と、ドキドキしながら収穫しています。

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★ご自分でハーブ園を始めたきっかけは?

留学から帰国後に膠原病(こうげんびょう)を発症したことがきっかけで、身体のことをちゃんと考えるようになりました。

一生付き合っていかなくてはならない病気なので、これ以上薬の量を増やしたくはない。どうしたら病気とベストフレンドになれるのか?症状を軽くするにはどうしたら良いのか?・・・藁にもすがる思いでいろいろ調べ、お取り寄せなどもしていましたが、値段も高く続かない状況でした。

そしてそんな時にハーブと出会いました。副作用もなく、いろいろな効能のあるハーブに魅了され、それなら自分でハーブを育てよう!と思い立ったのがきっかけで、父から畑の一角をもらい、小さなハーブ園を作りました。最初は畳一畳くらいの面積でスタートしたハーブ園も、2017年で4年目を迎えました。まだまだ小さいですが、小さいからこそ手が届き、愛情もかけられる、私の癒しの場所です。

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★なべくら高原の魅力をお聞かせください!

なべくら高原は、国営事業で開発された土地なんです。まだ30年しか経っていなく、まだまだ人の手もあまり加わっていない未開の地。 農地開発の話が上がってなかった父が20代の頃、たまたま父の友人がなべくら高原に住んでおり、この地を訪れた時に父がこの場所に魅了されちゃったらしいんです。父と友人の2人で木を切り倒すところから始まり、自分達で畑を作ってしまったほど、気に入ってしまったそうなんです。

そんな時に、国の農地開発の話が持ち上がり、父のビジョンの中では、将来的には”収穫体験農場にする”という考えがあったらしく、景色がとても良い今の畑を運良く得ることが出来ました。しかし、石拾いと土作りで10年かかったそう.....

30年目の今は、土の状態が非常に良く、栽培経験の浅い私が植えたハーブでもすくすく、イキイキ、育ってくれています。

父の昔の苦労話を聞き、それがあるから今があること。そして、おいしい!といつもうちの野菜を買ってくださる方々がたくさんいらっしゃること。父が築いてくれたものを後世にも伝えていきたい!そう思うようになってきました。

夏は、なべくら高原の畑で収穫体験を行っています。子供たちのおいしい!という顔を見るととてもうれしくなります。土に触れ、大自然の中で自分で収穫した野菜。レタスがあまーい!と喜ぶ子供たち。収穫体験で汗を流した後は、近くで沢遊びもできます。そういう経験、素晴らしい環境を生かした食育をもっともっと多くの子供たちに体験させてあげたいなぁと思っています。

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★最後に、マミさんの夢を教えてください

ゆくゆくは、小さなハーブ園で摘み取ったハーブをその場でハーブティーにして飲んだり、収穫した野菜で料理を作ったり、父が冬の間に描いている北信州のきれいな景色の油絵の展示もできるカフェやアトリエを建てることが今の私の夢です。

 

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(父の絵画を畑に飾り、青空絵画展を開催しました!)

ここ、なべくら高原の畑に来た時だけでも、普段の忙しさを忘れ、大自然に触れ、一日ゆったり、静かに過ごせるような、そんな場所にしていきたいです。

父が築いてくれたこの土地でおいしい野菜をもっともっとたくさんの方に食べてもらいたい、そしてなべくら高原をもっともっと世界に発信し、世界中からたくさんの人をなべくら高原に呼びたい!

東京や海外に出なければわからなかった、なべくら高原の魅力。

農業の魅力をより多くの方に発信すること。

食べることや食の大事さについて体験を通して子供たちに感じてもらうこと。

英語で収穫体験などをし、青空英会話レッスンをすること。

英語を話せることを生かして、どんどん飯山の魅力を世界へ発信していきたい!

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(フィリピンのYoutuberの方が畑に来て取材を受けました!夢だった、「なべくら高原を世界に発信する!」 その第一歩になりました!ASEAN諸国のテレビデビューさせてもらいました!)

 

【農業×英語×なべくら高原の大自然】

やりたいことをあげたらきりがありませんが、農業は本当にいろんな可能性のある職業だと思うので、もっともっと多くの方に農業の魅力を発信していけたらなぁと思います。

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