2020.07.17
【農業女子メンバーのSDGs 第11回 SDGsを身近なものに。「その5自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」】
by農業女子プロジェクト事務局
国連で掲げられたSDGs(エスディージーズ)。
SDGsは、Sustainable Development Goals のことで、日本語では、「持続可能な開発目標」と訳されています。
農業女子PJは、本コンテンツにて農業女子PJメンバーが取り組むSDGsを発信しています。
皆様に農業女子の取組やSDGsページをご覧いただくことで、
SDGsを少しでも身近に感じ、自分事として考えるきっかけになればと思います。
今回は、宮城県のみやぎ齋田農園 齋田綾華さんのSDGsの取組を紹介します。
齋田さんの活動は、農業女子PJが掲げた『農業者のわたしたちにできる5つのこと』の「その5 自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」に繋がっています。
Q1,齋田さんのSDGsテーマを教えてください。
~海洋廃材を海洋資源に~
【恩むす美】我が家のブランディングです
恩返し:3.11で支えて下さったお客様への御恩・豊かな大自然へ自分達が出来る優しい農業
むすび:おむすびでお客様と私たちと自然を結びたい
美:美味しいお米・美しい美里町から
Q2,テーマの目的・課題を教えてください。
テーマ:漁業廃材を海洋資源として受け入れ事業
化学肥料を減らして、地域にある宝(資源)に目を向ける
課題:海も里もお客様もWIN―WIN
この活動の大局にあるのは収益の一部が海にもつながるようになること。海洋資源(今まで捨てていたもの)に価値が付き、漁師の所得向上につながる仕組みづくりが必要と考えています。昨今の地球温暖化による異常気象で大変な被害が毎年全国を襲っていますが、海水温の上昇が原因で豪雨・洪水・台風といった悲しい災害が引き起こされています。海の海水温の上昇を防ぐため、無駄な資源を乱用せず、限りある資源を再活用しようと始めました。この活動は海のクリーン化、バランスが戻ることに重きを置いています。そのためにはみんなが袋に入った肥料を買うのではなく、身近にある廃材が資源であることを再認識し、適正価格で取引できる仕組みづくりが大切だと考えています。
お客様が美味しいといって循環型農業の農産物ファンになって頂き、適正な付加価値を付け多くの農家に普及し栽培方法の確立、積極的に海洋資源を受け入れることが続くことが今一番に訪れる課題だと思います。
Q3,Q1のテーマについて実際にどのようなことを行いましたか?(また、どのような人と連携しましたか?)
①地元石巻市の牡蠣殻を取り扱う業者に運搬・搬入
養殖業は各個人宅で処分先を見つけていて、すぐにまとまった量が集まりませんでした。それを取りまとめる業者にアポイントを取りました。
②地元周辺の意見交換
漁師の娘という利点を生かし、地元で困っていることの聞き取り調査を行い、環境ウォッチャーなどの存在を知りました。漁業廃材はかつて大切な餌となるはずでしたが、現在は海水温の上昇で従来の海洋生物の減少により、堆積率が上がり環境汚染(不法投棄)とみなされています。
プランナーさんと商品パッケージ・販路開拓
自分たちの想いや取り組みを具現化して頂きました。きちんとしたパッケージで訴求効果を高め、お客様に手に取って頂き販売数も伸びました。
Q4,SDGsの目的の達成に向けて、苦労したことを教えてください。
✼手探りで配合量を見極めていること
既存のお客様からは牡蠣殻使用後の食味がかなり違う、美味しくなったと太鼓判を頂いております。ただ、販売する際に地域貢献度はすぐにわかってもらえるが、食味に関してはエビデンスが無いため、実際のレビューの説明にとどまり、以前と比較して美味しくなったのか正確に伝えられないこと。これから長期間での土地の調査を依頼しています。
*コスト面
市販されている牡蠣の粉末を使うのは手っ取り早いですが、それでは漁師の収入源になりません。あえて直接買い付け・支払いするのを選んだのですがその分人件費や運搬費がかさみ、生半可な気持ちで取り入れられる仕組みではありませんでした。地元で普及させるためにはこのコストパフォーマンスを上げることが課題です。
*販路・付加価値をどのようにつけるのか
牡蠣殻を使っていることをアピールするパッケージにして、まずは手に取ってもらう必要があります。そこから、なぜ海洋資源を使うのか、どんな効果が得られるのか、みんなの心に訴えかける商材が必要だったと感じています。また、付加価値を付け、購入してくださる方も恩むす美に貢献している臨場感を持たせるための開発が必要でした。ブランディングには初期投資がかかることを実感しました。
Q5,達成度合いはいかがでしょうか?新たな課題を見つけられていたら教えてください。
おおむね60%
課題は、栽培方法の確立・エビデンス・仕組みづくり
Q6,持続可能な社会の実現のために、もっと挑戦してみたいことがあれば教えてください。
今は海洋資源にとどまっていますが、目標は林業とのコラボです。水源に植樹活動をし、腐葉土の採取やきれいな水づくりに特化した農業を進めたい。私どものお客様と一緒に二酸化炭素の排出・削減を出来る農活をしたいと考えております。
Q7,最後に一言お願いします!
私は昨年度の女性農業者コミュニティリーダー塾への参加で出会った循環型農業に取り組んでいる・興味のあるメンバーで地域資源循環型の農業ラボを創設しました。参加者は全国北海道~九州まで様々な地域に住み、各々問題意識を持ち、地域資源をどのように活用できるのか、持続可能な農業を本気で考える会になっています。私たち夫婦は周りに共有できる仲間が中々作れずにおりましたので、数は少なくても全国にいる同志で情報や想いを共有出来てとても刺激的なラボが出来上がりました。
今後は付加価値を高めるための活動へと進み、一人でも多くのお客様に手に取ってもらえるように農業女子PJならではのみんなが使える・使いたくなるブランディング化を進める予定です。そして、農家が循環型農業できちんと収益を上げられる仕組みづくりが出来、一緒に楽しみながら循環型農業に取り組んでくれる仲間が増えて欲しいなと考えております。
齋田さんありがとうございました。
地域産業と連携した循環型農業の実践に向けた取組、すばらしいです。
持続可能な発展に向けて、これからも引き続きよろしくお願いします。
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