農業女子PJ SDGsへの
取り組み

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2021.05.31

【農業女子メンバーのSDGs 第19回 SDGsを身近なものに。「その5自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」】

by農業女子プロジェクト事務局

国連で掲げられたSDGs(エスディージーズ)。

SDGsは、Sustainable Development Goals のことで、日本語では、「持続可能な開発目標」と訳されています。

農業女子PJは、本コンテンツにて農業女子PJメンバーが取り組むSDGsを発信しています。

皆様に農業女子の取組やSDGsページをご覧いただくことで、

SDGsを少しでも身近に感じ、自分事として考えるきっかけになればと思います。

今回は、長野県のすみれ自然農園食堂 堀川さちさんのSDGsの取組を紹介します。

堀川さんの活動は、農業女子PJが掲げた『農業者のわたしたちにできる5つのこと』の「その5 自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」に繋がっています。

 

Q1. 堀川さんのSDGsテーマを教えてください。
私たち(すみれ自然農園♥食堂)は、「地球環境再生」のために、持続可能な資源循環を実践し、「脱炭素」による地球温暖化問題の解決(Cool Earth)と環境汚染問題の解決(Clean Earth)」を目指しています。

目指すテーマは、”農業者のわたしたちにできる5つのこと”のすべてに繋がっていると考えています。

 

Q2. テーマの目的・課題を教えてください。
現在、環境に優しい「オーガニック」を基軸とした取り組みにより、人・地域との交流を目指しています。また、環境・地域・農業・子育てなどの課題を意識した永続できる農業を実践し、里山と里海・都市を結びつける構想のもと、3S(土:Soil、心:Soul、社会:Society)を大切にし、地域の自然生態も保護したいと思っています。農業以外では、「いいじま森の会」で、里山保全の活動もしています。

現在、コロナにより、県外・国外の中高生を受け入れる農泊などの交流事業が、困難となっているため、早い終息を願っています。

 

Q3. Q1のテーマについて、実際にどのようなことを行いましたか?

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「4 質の高い教育をみんなに」として
地元中学生の「職場体験」を受け入れ、信州の「農」から「食」の魅力を伝えています。
また、日本の農業及び里山は、食料の生産を担うだけでなく、国土、水資源、環境、文化、教育、福祉、健康などにおける、現代社会の様々な課題の解決につながる多面的な機能を持つため、市場原理・グローバル化の流れで衰退させるのではなく、今後も守る必要性があることも説いています。

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小・中学校の学校給食との関わりでは、令和2年度から地元食材として「オリジナルカボチャ」を納品しました。そして、令和3年度からは、町の「食育推進ネットワーク会議」への参加も決まりました。

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「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」として
現在、野菜を自分たちで育てる「家庭菜園」の人気が高まっていますが、一方で過保護栽培による過剰施肥を起因とする「硝酸塩」の問題がクローズアップされるようになりました。この問題は、農家でも未だに認識が低いと感じています。
小さな取組みですが、「伊那谷オーガニック・クラブ」を主宰し、これまで集めた学術知見をもとに有機農業に関する理論的な「土作り」などを紹介する教室(里山農法への道)を開催しています。

「11 住み続けられるまちづくりを」として
現在、現町長が立ち上げた官民連携の「飯島町営業部」に参加しています。この部の中にある「食部会」で、食や特産品をテーマにした「まちづくり」の推進と実践を目的として、地域食材を活用した「食」を掘り起こし、地域活性化に結び付ける取組みをしています。また、町の「観光戦略会議」にもメンバーとして参加しています。

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「12 つくる責任使う責任」として
自然に還る地域の有機資源を有効活用し、外部からの資源持込みの軽減、環境劣化の緩和などを図っています。具体的には、次のような「里山資源」を循環させています。

① ナメコ廃菌床:近隣の工場から排出されるものを堆肥化し、完熟したものを畑の「土づくり」に使用しています。

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② もみ殻:町内のコメ農家から出たものは、播種後のマルチに使用し、手作りで燻炭にしたものは、苗作りのための培養土と畑の「土づくり」に使用しています。
③ 米糠(コメヌカ):コメ精米時に出る糠は、秋から春に畦間に散布しています。
④ 栗(クリ)の木:町内の栗園から頂いた剪定枝は、薪ストーブで燃やし、灰は圃場の「酸度調整」と「ミネラル供給」に使用しています。

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⑤ 藁(ワラ):秋に近隣の農家から頂いた藁束は、乾燥防止と雑草抑制の畝マルチとして利用しています。
⑥ 葦(アシ):夏に地区の共同作業で刈り取った河川の葦を譲り受けて、畦間の草抑えのマルチとして使用しています。

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⑦ 野菜クズ:収穫や調理の際に出る野菜クズなどは、「コンポスト箱」で十分に発酵分解させた後に畑の肥やしとして利用しています。
⑧ この他には、落葉、刈草や農産加工所から廃棄されるタケノコの皮なども有機資源として有効に活用しています。

「13 気候変動に具体的な対策を」として
産業廃棄物、化石燃料、食品ロスなどの課題を意識して、解決に向けた工夫をしています。具体的には、次のように実践しています。

① 引き取り手のないキノコの廃菌床やもみ殻は「産業廃棄物」となり、産廃施設で燃やせば「炭酸ガス」の発生を招きます。しかし、自然循環の中に落とし込めば、その発生を抑え、土を豊かにすることができるので、有効な活用法(里山農法)を農業で実践しています。
② 農業では機械による耕起が一般的ですが、「輪作」による「不耕起栽培」を採用し、「化石燃料」の使用軽減を図っています。
③ ビニールマルチは、野菜栽培に有効な資材ですが、捨てる際は「産業廃棄物」となるため、敢えて藁などを「有機マルチ」にしています。

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④ 自宅の暖房は化石燃料に頼らず、町内にある栗園の「剪定枝」を薪ストーブの燃料として利用し、「木灰」は畑の肥料として活用しています。
⑤ 経営する農家レストランでの料理提供では、予約時に「食べられないもの」や「苦手なもの」を聞き取ったり、お客様の御要望に応じて、ごはん、おかずの量を調節したりして、食品ロスの削減に取り組み、「燃えるゴミ」として出さないようにしています。

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⑥ 産業廃棄物となった中古の木製パレットや取り壊した古民家の廃材を譲り受け、漬物小屋、収納小屋、薪小屋、テーブル、長椅子などを作りました。

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「14 海の豊かさを守ろう」として
海洋の汚染と富栄養化の課題は、沿岸地域だけで解決できないため、天竜川が流れる信州伊那谷に住む者として、日常生活では食器を洗う際の油汚れなどの拭き取りや家庭ゴミのビニール・プラスチック類の管理、そして、農作業では過剰施肥よる「水」汚染とならない栽培管理を心掛けています。

また、家の前に流れる用水路に落葉止めを設置し、流れる木の葉や刈草の他にビニールゴミなどの回収にも努めています。

「15 陸の豊かさも守ろう」として
土の団粒化の促進、保水性の向上、流亡防止の効果などが報告されている「不耕起栽培」と多様な土壌微生物を増加させる効果のある炭素分の多い有機物の「表面施用」を組み合わせた栽培方法を実践しています。

また、土の保水性や通気性を改善し、土壌微生物の棲みかとなる手作りの「もみ殻燻炭」を圃場に散布し、土の改良の他、植物に有効なAM菌根菌などを増やす工夫もしています。

 

Q4. 目的の達成に向けて、苦労したことを教えてください。
飯島町の政策として農地を「自然共生農場」と位置付けていましたが、私たちのような有機農業+αでの新規就農は、前例がなく地元の農業団体からは難色を示され、理解を得るのに非常に苦労しました。地元農家の方からも疑義の目で見られましたが、地域活動の参加を通じて、応援してくれる人も少しずつ増えたと感じています。

 

Q5. 達成度合はいかがでしょうか?新たな課題を見つけられていたら教えてください。
就農した2016年以前から「ソーシャルビジネス」としての農業を考えていたので、SDGsが公表され、マスコミで取り上げられるようになったときには、自分たちのテーマとして目指してきたことは、生産者としてほぼ実践できていると考えています。

しかしながら、現在の日本の農業、そして有機農業としての課題を鑑みた場合、私たちの力だけでは解決できない問題が非常に多いと感じています。SDGsの目標の下に決められたゴールのひとつに『働きがいも経済成長も』がありますが、地方は人口減少と高齢化により農業が「衰退」の一途をたどっています。この問題については、熟慮しています。

 

Q6. 持続可能な社会の実現のために、もっと挑戦してみたいことがあれば教えてください。
自然と人に負担をかけない「共栄幸福」の積重ねを理想とした①「創造的な持続自給の確立」、②「自然、地域との共存共生」、③「再生循環の輪の構築と発展」、④「芸術・教育と農業の融合」を、共感する人々ともっと目に見える形にできればと思っています。

そして、農業経営者として、「農」から「食」までの一連の過程を体感できる商品化を進め、グリーンコンシューマーとの繋がりの広がりにより、このような農業スタイルでも、しっかりと経営が成り立てば非常に嬉しく思います。

また、「国産有機サポーターズ」として、地域の有機農家と有機農業に理解のある飲食店や消費者とを結ぶ取組みも進めたいと考えています。

 

Q7. 最後に一言お願いします!
「農産物の味力(みりょく)は、地域の魅力」・・・、
「来た!見た!食った!うまかった!」といわれる地域づくりが、どんどん広がれば素晴らしいと思います。

都市部の皆さん、コロナ禍が終息したら、ぜひ、地方に足を運んでくださいね!

 

堀川さん、投稿いただきましてありがとうございます。
一般的な農法と異なる方法を、ポリシーを持ってお取組いただいていること、
またその達成のために、積極的に地域との関係構築に注力されていることがよくわかりました。
これからも農業・農村の持続的な発展に向けたお取組をよろ

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