2021.10.04
【農業女子メンバーのSDGs 第20回 SDGsを身近なものに。「その5自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」】
by農業女子プロジェクト事務局
国連で掲げられたSDGs(エスディージーズ)。
SDGsは、Sustainable Development Goals のことで、日本語では、「持続可能な開発目標」と訳されています。
農業女子PJは、本コンテンツにて農業女子PJメンバーが取り組むSDGsを発信しています。
皆様に農業女子の取組やSDGsページをご覧いただくことで、
SDGsを少しでも身近に感じ、自分事として考えるきっかけになればと思います。
今回は、栃木県の株式会社長谷川農場 長谷川紀子さんのSDGsの取組を紹介します。
長谷川さんの活動は、農業女子PJが掲げた『農業者のわたしたちにできる5つのこと』の「その5 自然によりそった持続可能な農業の実現に取り組む」に繋がっています。
Q1. 長谷川さんのSDGsテーマを教えてください。
「牛にも人にも環境にも優しい農業のあり方」です。
Q2. テーマの目的・課題を教えてください。
テーマについては、足利にあるCOCO FARM&WINERYのブドウの搾りかすが大量の産業廃棄物となっており困っていると伺ったことから、何かできないかと思い設定しました。
長谷川農場としても、せっかく足利で牛を育てているのに、どこで買われて誰が食べているのかわからないという現状に寂しさを覚えていたこともあり、「牛にも人にも環境にも優しい農業」を実践しています。
Q3. Q1のテーマについて、実際にどのようなことを行いましたか?
COCO FARM&WINERYさんから産業廃棄物となっているワインブドウの搾りかすをどうにかして牛に食べさせられないかと相談がありました。そのままだと消化不良を起こして牛を危険に晒すことは分かっていたので、色々な企業に相談し、試行錯誤して牛の餌用への改良に成功し与えることができました。また、葡萄畑にも弊社の堆肥を還元し、循環農業を可能にしております。
循環農業についてはワインブドウの搾りかすだけでなく、足利市は稲作農家も多いことから、牛に必要な稲藁は田植えが終わった後、近隣農家さんの稲藁を集めさせていただき、代わりに堆肥を還元しております。
また、アスパラガスも12年前より生産しており、そこのハウスにもふんだんに堆肥を使用しておりますので、畜産農家が一番の課題とする堆肥の始末には困らないよう、一年通して循環できる仕組みを作っています。
Q4. 目的の達成に向けて、苦労したことを教えてください。
ブドウの搾りかすをどう牛に与えるか、牛に負担のないことはもちろんのこと、牛が好んで食べるようにと配合の仕方など企業間でのやりとりや配送方法について企業と連携しながら検討しました。どれだけの量を与えたらいいかという分析など、結果が出るまで2年かかりました。長い月日がかかりましたが現在では安心して与えられるまでになりました。
Q5. 達成度合はいかがでしょうか?新たな課題を見つけられていたら教えてください。
与え始めて2年後、初めての共励会(牛のコンテスト)で最優秀賞を獲りました。また翌年も受賞させていただきました。
牛も餌をよく食べてくれるようになり、肉も美味しそうな発色をしており、やってきたことは正しかったんだと確信を得た瞬間でした。それから『足利マール牛』(ブドウの搾りかす(マール)を食べている牛)としてブランドを立ち上げ、足利の方が誇りを持っていただけるような特産品になれたらと日々精進して生産に取り組んでいます。
今後に向けた課題としては、マールはブドウなので甘い香りもしますし、堆肥も多いのでハエが大量発生します。ここを衛生的に整えられないかと模索中です。
Q6. 持続可能な社会の実現のために、もっと挑戦してみたいことがあれば教えてください。
日本人の根本には『もったいない』という精神が根付いていると思います。『捨てる』から『活かす』につなげるアンテナを持ち続け、循環農業には今後も取り組み続けたいと思っています。
また、農業に興味を持つ方は『昔小さい頃に近所にいた牛を愛でていたことが忘れられなくて・・・』のように幼い頃に農業と触れ合っていた人が圧倒的です。なので、学生の食育活動な土を通して、食べ物がどうやって作られていくのか、消費者までどのような経路を辿って届くのかなど、伝えていく活動にも尽力できればと思っています。
Q7. 最後に一言お願いします!
農業という職業は、人類が生きる上で根源を支える重要な仕事だと思います。だからこそもっと理想の職業になってほしい。私は農業の素晴らしさや大切さをきちんとお伝えして、人々を惹きつけられるようにもっと精進したいと思います。
長谷川さん、ご紹介いただきましてありがとうございました。
無駄が出ないように地域としての循環を構築されるため、多くのご苦労があったとお察しいたします。
持続可能な社会の構築とともに、ご自身のブランドを立ち上げられ、またコンテストでも優秀賞を取られるなど、ご自身の持続的な経営や活躍のためにもなっていると感じました。
引き続き、持続可能な発展に向けての活動をよろしくお願いいたします。
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