令和7年7月9日(水)~7月11日(金)にAichi Sky Expo(愛知県常滑市)で開催された東海地域初の農業・畜産向け展示会、「AGTS農業展」(主催:株式会社イノベント)にてメンバーの井上早織さん(株式会社アグリー)、中垣野歩さん(なかがき農園)、中村美恵さん(菜っ花園)、山原裕美さん(さくらベリーズガーデン)の4名がセミナーを行いました。当日は、約90名の方がセミナー会場に集まり、耳を傾けました。
このセミナーをよりよいものとするため、登壇者は事前に打ち合わせを重ね、ファシリテーターを買って出た井上さんをはじめとする4名が、テーマや構成を自ら考え、この日に臨みました。
登壇されたみなさんは、自己紹介を交えながら、「思い出の写真」「大変だったこと」「5~10年後の私」「聴講者の皆さんに伝えたいこと」をテーマに、それぞれの経験や想いを語りました。


井上さんは、三重県名張市に移住し就農されました。水菜、レタス等の葉物野菜を栽培しています。2022年には自身が運営していた事業を売却し、「50代でリタイアする」という働き方改革を実行。現在は売却先の会社に雇用される形で農業に携わる一方、農福連携や耕作放棄地の再生を通じて、持続可能な地域づくりに取り組んでいます。
中垣さんは、岐阜県恵那市でトマトを栽培しています。新規就農した夫が「自分が売った野菜が誰に届いているか分からない」と言った時、自身の接客・販売業の経験から「作ったものが誰に届いているか分からず、買った人の反応が聞けないなんてもったいない」と感じ、就農を決意して栽培したトマトの販売や発信に積極的に携わるようにしました。前職の販売員としてのスキルを活かし、マルシェやSNSを通じて消費者とつながることで、夫とともにご自身も農業の楽しさを実感していると話していました。


中村さんは就農から40年ほど経っており、農協の監事や農村生活アドバイザーも歴任するなど登壇者の中ではベテランであり活躍する女性農業者の先達です。夫、息子と3人で愛知県豊橋市にて鉢花、花苗栽培をする農園を経営しており、「3人そろえば無限大」という言葉が気に入っていて、豊橋駅に貼られた当農園を紹介するポスターにも使っていると話されていました。
山原さんは、47歳で再婚を機に農業を始め、現在は三重県四日市市でブルーベリー観光農園の園長として活動。ホテルマンや介護職などのさまざまな職種の経験が、園や併設するカフェの運営に活きていると話されました。「消費者と農業者の真ん中の立場でいたい」と語っていたのが印象的でした。

「大変だったこと」では、ある作業の失敗により農作物がすべてダメになったことや、農作物がなかなか売れず苦労したこと等、農業経営に関する苦労はもちろん、自宅と農園が近く、仕事と私生活のオンオフの切り替えが難しいことや、夫婦間で働き方や意見の食い違いがあったことなど、暮らしと仕事の両立に関する苦労も語られました。
「5〜10年後の私」では、今後の経営の方向性や目指している姿に加え、地域全体の農業をどうしていきたいかといった視点も語られました。持続的に農業を続けていくこと、自分自身も楽しく働ける環境をつくっていきたいと語っていた姿が印象的でした。
「聴講者の皆さんにつたえたいこと」では、「農業をされていると大変なこと、つらいこともたくさんあるが、笑顔を大切にしていてほしい」と話されました。また、困っている新規就農者や、同業者に対していつでも相談に乗ります。と呼びかけました。
セミナー最後には聴講されていた男性農家から「農家の妻として地域のしきたり等での苦労はあったか」や「農家に嫁に来てもらうにはどうしたらよいか」と質問がありました。メンバーは、「地域の付き合い等であまり苦労をしたことはない。妻に地域のしきたりや家事育児などは押し付けず、妻がのびのびと生活できる環境をつくることが大切」と回答。また、「農家の男性はかっこいいので見せ方に工夫が必要」と笑顔で語っていました。

左から 中村美恵さん、中垣野歩さん、山原裕美さん、井上早織さん
東海農政局では、今後とも農業女子プロジェクトの活動を発信、支援していきます。