2020.02.26
けやき会と農業女子プロジェクトメンバー等との異業種交流会を開催しました
by関東農政局
関東農政局です。
令和2年2月6日(木曜日)、(株)日本政策金融公庫さいたま支店内において、埼玉県内の中小企業若手経営者の会(以下「けやき会」という。)と関東地域の農業女子プロジェクトメンバー等女性農業者による、異業種交流会を開催しました。双方の経営力の向上を図るとともに、新たな気付き、発想のヒントを得て、自身の今後の活躍の場の拡大に繋げることを目的としており、22名の参加をいただきました。
けやき会代表幹事 庵原智哉氏の開会挨拶の後、株式会社アグリカルチャーセンター 代表取締役副社長 石川浩氏から「当社の経営について 」と題して自社の取組や農業分野における御ご自身の考えを中心にお話をいただき、 続いて、農業女子プロジェクトメンバーのさいたま榎本農園 榎本房枝氏より「自社のマーケティング戦略について~小さい農家の情報発信と提案方法~」と題してお話をいただきました。最後に「マーケティングを考える」をテーマに4グループに分かれ意見交換を行いました。
講演1
「当社の経営について 」
株式会社アグリカルチャーセンター 代表取締役副社長 石川 浩 氏
石川氏は、埼玉県内において、えのき、まいたけ、しいたけの生産販売を行う会社。元々は石川電気(株)という会社で半導体を製造。電気関係の下請けを続けていても将来性がないだろうとの考えから、新規開拓部門のきのこの生産をスタートさせた。社員16名のうち9名が女性。また、パートが35名で、うち20名が女性。さらに、ベトナムからの技能実習生が10名(全て女性)。その他に知的障害者が7名(うち6名が重度の方)となる。それぞれの部門で女性が活躍しており、女性がいないと回らない会社である。
また、2016年にJ-GAP、2018年にASIA-GAPを取得しているが、コンサルタントを使わずに社員が勉強し、自社で申請を行っている。きのこは単価が下落傾向にあるため、経営としては非常に厳しい状況である。更に原材料費や人件費が上昇し、利益率が低下している。コストを抑えるため、電力会社を変更し10%の削減に繋げたが、まだまだと感じている。
これから国内の人口が減少し、市場は縮小傾向の中でどうやって生き残っていくかが大きな課題であり、日々考えながら経営を行っている。
また、バイヤーは特色あるもの、自分のところにしかおけないものでニーズに沿ったもの、価格競争しないで販売できる商品を探しているので、安心・安全だけではアピールにならない。その中でいかに利益率の高いものを作り、利益を出せるかが重要とのお話をいただきました。
講演2
「自社マーケティング戦略について」~小さい農家の情報発信と提案方法~
さいたま榎本農園 榎本房枝氏
榎本氏は、料理人、ホテルのレストランサービスの経験を積み、その後実家に就農。
年間100種類の野菜を作付けしている。定番野菜、新品種、伝統野菜と3パターンの野菜を必ず作っている。取引先により、お客様のターゲットが異なるため、先方からの要望にあった対応が必要と感じている。主力品種は「プチぷよ」で、ミニトマトは30種類の色や形の品種を作り、オールシーズンあらゆる要望に応えられるよう取り組んでいる。
また、同じ農園のミニトマトでも、POPやシールを変えるだけで、高級感や手軽さを出すことができる。 しかし、いくらいいものを作っても、消費者が評価してくれるとは限らない。同じものを並べても見た目が同じだと差別化は非常に難しいと感じた。そのため、今まで経験したレストランサービスとなって野菜のことをお客様に伝えるためにはどうしたらよいか学んだことを活かし、消費者の気持ちになって伝えている。
また、小さな農家だからこそ何かできることはないかと考え、外部の人とのコミュニケーションに取り組んでいる。例えば、取引先のレストランのシェフには必ず圃場を見学してもらう。シェフ達は、魚や肉に比べ、野菜のことはあまり詳しくはないようなので、農作業を体験してもらい、食の大切さ、第1次産業について学んでもらっている。また、大学生や親子収穫体験を受入れ、食農教育に取り組んでいる等のお話をいただきました。
意見交換会
意見交換会のテーマ:我が社のマーケティングについて
以下の手順に基づき、意見交換を行った。
1.グループごとに「ファシリテーター」と発表担当を決める
2.自己紹介とともに自社の強み、経営戦略、講義の感想等について意見を発表
3. 発表を受け、他のメンバーが一言ずつコメントを行う。
4.経営におけるヒント、今後の経営発展に生かせるマーケティング戦略について意見交換を行う
主な意見
・農業で食物を扱っている人は鮮度が重要であるが、製造業の製品とは性格が異なるため、マーケティングのテーマで果たしてマッチングができるのかと思った。
・気付きとしては、どの業種であっても差別化、独自化がどうしても必要であるということ。農業女子から教えてもらったことは”もの”ではなく”コト化”である。個人的なイメージとしては、企業より農業の方が進んでいると感じた。
・販路の開拓が話題となった。製造業は今作っているものを日本から海外に輸出すること。すでに走っているが、今後、どうやって生き残っていくのか。農業では、新規就農したばかりなので、パンフレット等の整備や作っている物の詰め合わせなどで販路拡大を行っていく。
・どれだけ自社の強みを出せるかが共通していた。農業も中小企業も大きい所と戦うため、自分の言葉でどれだけ強みを伝えるかが共通している。
また、いろんな立場があり、農業も企業もステージがそれぞれ違うが、理念をしっかり持つことが大事である。10年先を見据えた時にどうやっていくか、誰に何を売るかが大事である。
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