2018.11.14
【私、農業女子PJに入りました。 第56回】
by農業女子プロジェクト事務局
今回は千葉県館山市の成田浩美(なりた ひろみ)さんをご紹介します。
成田さんは、ご家族のご病気をきっかけに食に興味をもち、さらに震災後、被災者支援の活動を通じ真菰(まこも)に出会い、無農薬無化学肥料で栽培を開始したそうです。真菰を通じて地域の活性化や若者への農業や里山の魅力を発信しています。
それでは、成田さんよろしくお願いします。
- 自己紹介をどうぞ。
初めまして! 成田浩美と申します。来年3月に60才になりますが、若者と一緒に活動することも多く、気持ちは誰よりも若いつもりで、いつも昭和34才と自己紹介しています。私は、軽トラがギリギリ通る里山の行き止まりにある千葉県館山市神余(かなまり)ホタルの里と呼ばれている所で、真菰(まこも)の栽培をしています。真菰は、別名「神々が宿る草」と呼ばれ、とても神聖なもので神事に用いられていますが、ここの地名が“神が余る”と書き“神余”(かなまり)と読むことから、特別なつながりを感じ、屋号を「神余真菰庵(かなまりまこもあん)」と名付けました。
震災から2年後の2013年3月、10年以上耕作放棄地だった場所を海外と日本の若者達と一緒に10m×15m程開墾して田んぼをスタ-トし、今では1反半ほどに広がっています。荒れ地に手を入れると、里山のあちこちから湧き出てくる水が常に田んぼを満たし、いつの間にかドジョウやおたまじゃくし、蛙が住むようになりました。
- 農業をはじめたきっかけはなんですか?
2011年3月東日本大震災後、福島第一原発事故をきっかけに、地域の有志でNPOを立ち上げ、8月の夏休みに被災地より母子7組28人を招き、保養プロジェクトをスタートしました。
2012年10月子どもの喜ぶメニューを研究リサーチしていたところ、若杉友子さんの本と出会い、すぐ料理教室に参加。そこで初めて真菰に出会いました。「真菰は免疫力を高め、排毒効果があるんよ。あんたも真菰を育てなさい」の言葉を受け、翌年3月株を分けていただき、里山の湧き水と大地のエネルギーだけで育った完全無農薬の「神余真菰」の栽培を始めました。
- 農業女子PJに参加した理由は?
土や何かの葉っぱに触れると皮膚は痒くなり、顔が腫れるほどかぶれてしまう。そんな私ですから、農業に手を出すことなどまったく考えていませんでした。子ども達が小さい頃から他のお母さんたちと様々な企画を立ち上げて、一緒に地域でのボランティア活動を続けており、その延長線で子育て支援、福島の母子の被災者支援の活動を継続しています。今では毎日作務衣姿で走り回り…人生とはわからないものです。
福島の子ども達の支援は、今後も継続して行いたいと思っていますが、資金が課題です。どうせ起業するなら、SDGs“2030年までに達成すべき17の目標”を視野に入れたビジネス展開をしたい。地域はもちろん、日本の農林業の活性化、すべての人の健康、安全安心を実現するために、国や企業からのサポ-トと農業女子PJの皆さまからのお知恵をいただき、是非実現に至らせたいと考え、農業女子PJに参加しました。
- 農業をしていて楽しいこと、厳しいことを教えてください。
真菰葉を使った“神余真菰茶”や“まこもこまくら”など商品開発も楽しいことの一つです。
また、「どうせやるなら、楽しまなくっちゃ!」これが私の持論です。楽しければ疲れ知らずで、時間が経つのも早く、「もっとやりたかったのに~! また来年もやりた~い!」の声を聞きます。その逆も然り。子どもや若者達と一緒になって笑い楽しみながらも、結構ハ-ドな作業を行っています。
…というのも、真菰の作業はほとんど泥の中、「汚い・株は重い・転ぶ」の3K。作業後全身みんな泥パック状態です。でも、そこが真菰パワ-の凄さで、「ここに来ると癒されるぅ~、ジブリの世界にいるみた~い!」とおっしゃってくださいます。また、自然の恵みである湧き水・太陽・土のエネルギ-だけで(肥料も農薬も一切使用せず)どんどん大きくなってくれるのです。
しかし今年は、収穫時期の台風直撃で95%がなぎ倒され、残った真菰もイノシシ・アオサギの餌となり、全体の1%しか収穫できませんでしたが、ほとんど一人作業なのでこれもまた自然の恵みと受け取りました。今、なぎ倒された真菰を抜き取り田んぼの整備をしているところですが、この大変な時期に世界中の農とオーガニックライフを楽しみながら旅をしているニュ-ジ-ランドから来た23歳のWWOOFer※が作業を助けてくれています。
※WWOOF(World Wide Opportunities on Organic Farms)とは、有機農業を核とするホストとそこで手伝いたい・学びたいと思っている人をつなぐもの。WWOOFerはWWOOFで手伝い、学ぶ人のこと。
- 農業への思いやこだわり、将来の目標を教えてください
20年前、余命2年と宣告された義母(今も健在)と私の子育ての経験から「人間は、食べ物と家庭環境によって創られている」と考えるようになりました。
今の目標は、「SDGsを活用し、持続可能な生活を目指す人達、特に日本を始め海外からの若者達や企業を巻き込み、日本の各地と繋がり意識を同じくして“SDGs企業旋風”を巻き起こすこと」です。
- これから農業女子PJで取り組みたいことは?
これらの起業の中心になるのが、女性であり、農業女子PJと考えています。なぜならこれは、すべての命を生み出すプロジェクトだからです。そして、起業に必要な様々な情報、ノウハウを持っておられるのが、すでに成功していらっしゃる企業さんです。
スロ-ガンは、「SDGsを活用した持続可能なSDGs企業を 農業女子PJから始めよう!」です。
SDGs“2030年までに達成すべき17の目標” 目標8「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用、及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する」、目標12「2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする」というターゲットにまさに合致します。
女性が動き出すことで、家庭・地域・社会が変わり、子どもが変わり、それはやがて未来を担う人材育成へと繋がっていきます。農業女子PJの皆さん、一緒にSDGsにチャレンジしませんか?
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成田さん、ありがとうございました。益々のご活躍を期待しています!
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