2018.09.21
【農業女子の知恵袋 第11回】
by農業女子プロジェクト事務局
皆さんこんにちは!佐賀県伊万里市でブロイラー生産・加工、花苗栽培と直売所を経営している、株式会社百姓屋の谷口未佳です。
(株)百姓屋は、父が平成6年に脱サラして、母と共に就農。平成24年に法人化しました。ブロイラー部門を父と兄、夫が、花苗部門を姉と私とパートさんが、経理と直売を母と義理の姉が担当しています。
子供のころは、両親が忙しく働いていて、友達の家のように遊園地や家族旅行にも連れて行ってもらえませんでした。小学校低学年の時は、ランドセルを背負ったままハウスに行き、花の出荷について行きました。そんな時が唯一、両親と一緒に過ごせる楽しい時間でした。何度も自然災害に遭い、それでも一生懸命頑張っている両親や兄や姉をみて、少しでも力になりたい、一緒に盛り上げていきたいと思い、就農しました。今は家族みんなで農業をしています。農業は天候に左右され大変こともありますが、「楽しみながら農業を」をモットーに家族で力を合わせて頑張っています。
現在、子育て真っ最中で、3人の子供がいますが、(株)百姓屋の時間差勤務や有給休暇の制度を利用しながら、仕事と育児を両立させています。毎日の仕事内容も自分たちで考え、配分していますので、子供の行事や病気の時にも休める体制をとっています。
子育てと農業の両立は大変なこともありますが、子育てしやすい勤務体系と、周りのサポートがあるからこそできると思います。一緒に農業をしている夫も、子育てにも家事にも協力的でとても助かっています。
ブロイラーは、佐賀の銘柄鶏である有明骨太鶏を飼育しています。全飼育期間抗菌剤を使用しない無薬鶏を年間52万羽飼育しています。その一部を加工し「山ん鶏」として販売しています。リスクを伴いながら大事に育てた無薬鶏なので、加工も無添加にこだわっています。
花苗は市場への出荷だけではなく直売にも力を入れています。ふるさと納税の返礼品として扱ってもらっている他、マルシェなどでの販売や出張ガーデニング教室も行っています。年2回春と秋に「ハウス開放」を行い、お客様にハウスに来ていただき直接販売します。自分の好きな花苗の寄せ植え体験を通じ、土や花に触れあっていただいています。
このようにお客様と直接関わることで生の声を聞くことができ、次の播種計画の参考にしています。播種計画は一番頭を悩ませるときでもありますが、わくわくするときでもあります。記帳データをもとに、女性スタッフみんなで意見を出し合い、前回人気だったものを選び、新色も追加、新しい品種にも挑戦しています。結果がついてきたときにはとても嬉しいです。
また、ブロイラーからでた鶏糞を用土に混ぜ再利用できないかとデータを取っており、循環型農業を目指しています。
花苗は夏と冬は農閑期なので、鶏肉の加工品(山ん鶏)の販売をすることで時間を有効利用でき、年間雇用につなげています。
また、佐賀県の農業女子グループ「佐賀カチカチ農楽が~る」に所属しています。現在23名が活動しています。様々な農作物を作っている女性。思いや悩みも様々ですが、同じ農業を営む者同士すぐに打ち解けて、相談することもできます。“カチカチ農楽が~る”としていろんなイベントに参加できるので、とても勉強になっています。
最近では、様々なイベントや行事の担当も任せてもらっており、“カチカチ農楽が~る”の活動を通して経験を積み、自分の成長にもつなげていきたいと思っています。
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谷口さん、ありがとうございました!ご両親の働く姿を見て就農を決意された谷口さん。大変なことも多いけれど、家族で力をあわせて取り組む農業に魅力を感じたのですね。地域のグループ活動にも積極的に関わる谷口さん。益々のご活躍を期待しています!
時間差勤務や有給休暇を取り入れるなど、(株)百姓屋さんでは、子育てしながらも働きやすい勤務体系を導入しています。(株)百姓屋さんは、農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)の認定経営体です。