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2017.08.17

農業女子 presents 私のイチオシ農業男子!第34回

by農業女子プロジェクト事務局

今回のイチオシ農業男子!は、京都府の鎌部真由美さんからご紹介いただきます。

地域での信頼も厚く、3世代で地域を守るかまべファーム。その秘密はどうやらお父さんにあるようです。

それでは鎌部さん、よろしくお願いします!

☆☆☆

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京都府の鎌部真由美です。我が家は3世代(父、私、息子17歳)で農業をしています。

そんな私が紹介するイチオシ男子は、父である鎌部勉武(つとむ)73歳です。認定農業者であり、農業委員も務めています。

元々、大工であった父。

世の中が木造の家から、現代のような建物に変わり始めるとともに大工の仕事は減っていきました。そのころは、自分の家で食べるお米や野菜を作る兼業農家でした。

当時、地域の働き世代はいわゆるサラリーマンで、“農業を経営する”という風潮はまだありませんでした。私自身も、農業なんて頭によぎることすらありませんでした。

兼業農家ですが、地域で唯一、農業機械や設備を持っていた父が、もうすぐ50歳になるかという頃、地域の高齢化により、受託オペレーターにならないか、という話が入ったそうです。家を離れていた私が久しぶりに戻ると、そこには倉庫が建ち、今までの何倍もの機械がある。父は「専業」農家になっていました。

こんな流れから、父は地域の方の多くの田んぼを担う、農業という“仕事”をするようになりました。今は70歳を過ぎてだんだん体力もおち、病気をすることもあって、作業を受ける面積を減らしていますが、一時は最大20町歩を一人で請け負っていました。

元々大工の父は、職人気質で少し(かなり?)恥ずかしがり屋で、不器用です。その分、どうしても自分一人で背負ってしまいがちですが、地域でも「つー(つとむ)さんは働きもん」と通ったところもある。そんな真の部分に、『土地はどこであろうと先祖からの土地。その土地は、荒らさない。耕して守る。』という想いがあるようです。

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父が幼いころ、時代的には戦後ということもあり、田んぼをつくり、白いお米を食べることは当たり前ではなかった。イモ類や豆類が主食であるのも珍しくない時代を生きてきた父は、地域の方の「自分の田んぼのお米を食べたい」という想い、地域の土地が草で荒れず、美しくあって、それを守っていくことには夢がある、というのが腹に座っているのです。

とはいえ、そんな父は、本当に頑固です。でも、その頑固さを許せるような仕事をしていると私は思います。

・自分のお米や田んぼより、地域の方のお米や田んぼを優先すること。

・地域の環境に良くないことはしないこと。

・丁寧に、念押ししながら、欲張らずに作業すること。

・どんな辛いこと嫌なことも寝て起きたら忘れたように、人に接すること。

・『名を捨てて実を取る』という考えを持っていること。

 

父は身長が185㎝ありますが、この頃は腰も曲がってきて、小さくなったように感じます。若いころ家を飛び出した私は「おまえなんかには出来へん」と言われながらも、この父の想いを受けついでいく決心と覚悟があります。

そして、幼いころからそれを見てきた息子は、『おじいちゃんがしんどくなるので、僕がやっていくんだ』と、いつからか言うようになりました。

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私たちの田畑があるのは、京都府北部の丹波の山奥です。ここの景色は、少なくとも私が見るここ45年、変わりがありません。コンビニは車で30分以上、自動販売機でさえ自転車でも考えてしまう距離です。山と山に挟まれたように集落と田畑と川。川には天然鮎、少し上流には天然山葵。星は降るように空を覆い、蛍が舞い、そして、冬は1月から3月まで雪景色。この環境で、季節を肌で感じながら大切に育てた父のこだわりのお米は、「やみつきになる」とファンもいるほど、艶があり、冷めてもおいしいモチっとした食感。以前、“あの魚沼産に引けをとらない”と言われたこともあるようです。

でも、父は良くも悪くも無欲であり、お米の販売価格も高くしない。あくまでも、『農地を守る。そこには夢がある。』

 

最近、「来年は生きて、作れるだろうか・・・」お酒が入ると、小言のようにつぶやくようになりました。“京都に水稲の鎌部勉武あり”と言われた時代は少し過ぎましたが、その父の想いと体力を支え、父が生きている間に学び、親孝行する遅かりし娘と孫の覚悟です。

 

☆☆☆

鎌部さん、ありがとうございました!

まっすぐで職人気質のお父さん。地域での信頼は長年かけて作られたものなのですね。

農地を、そして地域を守る想いが、世代を超えて受け継がれていく。素敵ですね。

長年のお父さんの想いと、育成塾で磨いている真由美さんの経営感覚で、ますますパワーアップするかまべファームを、楽しみにしています♪

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